MAKE: Japan: Open Source Hardware Archives
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March 2, 2012
私は、オープンソースハードウェアはすでに定着したと信じている。それは、素晴らしいコミュニティとして、素晴らしい運動として、そして多くの人にとって素晴らしいビジネスとしてその地位を確立している。私は、毎日何らかの形でオープンソースハードウェアと関わっているが、ひとつ話しておきたいことに、私たちはみな、いや私たちの多くが、ある暗黙のルールに従っているということだ。なぜだろう。「オープンソースハードウェア」と総称しているものを中心的に推進してきた人たちは、みな顔見知りだ。友だち同士だ。同じことをしていたり、競争していたりしているが、みなが目指すゴールは同じ。自分たちの作品を共有してよりよい世界を作ること。そして、互いに足を引っ張り合うのではなく、互いに支え合う� ��とだ。ここで私が、「暗黙のルール」と称するものを全面的に支持してくれる人が必ずいると思うが、いろいろな反対意見もあると思う。それはいいことだ。それが今週のテーマだ。
それでは始めよう。
必要がなくても使用料を互いに払っている
奇妙に聞こえるかもしれないが、私たちは互いにお金を払っている。詳細を話そう。私はTV-B-Goneの開発者、Mitch AltmanをLimor Friedに紹介した。彼と彼女を結びつけて、TV-B-Goneのキット版を作らせたかったのだ。5年近く前のことだが、大成功だった。Mitchは全国をまわってワークショップを開催し、MakeやAdafruitや、そのほか多くのショップが彼のキットを販売した。彼はその装置のアイデアに対する使用料を受け取っている。当然のことだ。表舞台の裏では、オープンソースハードウェアの開発者のほとんどが、ハードウェアを作ったり共同開発したときに、互いに使用料を払っている。そんな必要がどこにあるのだろう? 理屈の上では必要ないことだ。だけど私たちは払っている。私は、どうしたらキットを共同製作できるかと相談してくる企業には、この話をして、Limorとの仕事のしかた、使用料を払うこと、そしてどのように成功させるかをMitchに聞くように� ��勧めている。Sparkfunにはたくさんの製品のページがあるが、彼らも同じことをしている。この暗黙のルールでは行動が物を言う。 : )
私たちはお互いをものすごく尊重している
オープンソース製造業者が常に求めるものは何か? それは、正しくクレジットされることだ。コミュニティが常に目を光らせているので、この点で問題が起きることは滅多にないが、誰が何を作ったのかがあいまいになってしまう問題はときどき発生する。悪意ではない。ただ忘れられてしまうのだ。オープンソースのアイデアを拝借して製品を作る巨大企業はたくさんある(日常のことだ)。しかし、オープンソースハードウェアのコミュニティはコミュニティだ。互いに尊重し合っている。好かない相手であっても、互いに敬意を払うことは簡単であり、実際に楽しいことだ。「このコード/ハードを使って、改良したんだ。オリジナルを作ったのはこの人だよ」とね。アイデアを借りたときは、「○○に影響されて作りました」� ��言ったりもする。巨大企業は、こんなことはしない。しようにもできない。しかし、オープンソースハードウェアの世界ならできる。いくらなんでもサムスンが、アップルに「影響されました」なんて絶対に言わない。だけど影響されているのは明かだ。オープンソースの世界では、作り手たちはそのアイデアを最初にどこで見たかを嬉々として語る。
ネーミング:元の名前とは違うユニークな名前にする
私たちは、まぎらわしい名前は付けないように気をつけている。商標は、ハードウェアの知的財産を守るための数少ない手段だ(回路図は著作権で守ることができない)。だから、どこの誰が作ったのか、ユーザーがすぐにわかるようなブランドの確立には大きな意味がある。例を示そう。一時期、Arduino互換ボードに○○-uinoという名前を付けるのが流行った。または、互換ボードもArduinoと呼ばれてしまうこともあった。でもその時期はすぐに終わった。少なくとも、近ごろはめっきり見なくなった。Boarduinoは、Arduinoチームが公認した名前だった。それはナニナニ-uinoが大量に現れる前の話だ。今では、ユニークなArduino互換ボードがたくさん生まれるようになり、名前も-uinoではないものが多くなった。Arduino互換ボードという呼び方は� �ても、互換ボードはArduinoではない。Arduinoという名前は、Arduinoチームの所有物だ。彼らのUSBベンダIDから名前からボードに印刷されたロゴまで、みな彼らの所有物だ。他の人の名前を騙るのは悪いことだ。実際に、みんなが知っているルール(商標法)や暗黙のルールが破られることはある。しかし、企業や開発者が、自分の製品に自分で付けた名前の重みを知るようになれば、こうした問題はなくなっていくと思う。商標とUSBベンダIDに関しては、いずれ大きな記事にまとめたいと思っている。まずはこれが手始めだ。
オープンソースハードウェアをきちんと実行する
これは簡単だ。オープンソースハードウェアであるからには、回路図、ソース、部品表、コードのすべてのファイルを公開する。隠してはいけない。秘密保持契約にサインしろなどと言ってはいけない。難しくしてはいけない。ややっこしくしたいのなら、オープンソースはあきらめるべきだ。これは最近見たもので、オープンソースハードウェアとして相応しくないと思ったものだが、オープンソース化をKichstarterの「謝礼」にしてはいけない。そういうものじゃない。オープンソースハードウェアはマーケティング用語ではないのだ。もっと特別な意味がある。私たちは、オープンソースハードウェアを、やりたいからやっているのだ。誰かを騙そうとしているわけではない。私たちの間で常に問題になることがひとつだけある。そ� �は時間だ。常時、何百ものプロジェクトを抱えていると、すべてのファイルを常に最新にしておくことが難しい。私の場合、GitHubのブレークアウトボード用のすべてのEagleファイルを即座にアップロードできる時間がなかった。それほど複雑なものではないので気にする人はいなかったが、私は気になった。だから、すべてがきちんとアップロードできているかを、これからがんばって確認するつもりだ。私は、すべてをGitHubに移そうと思っている。そのほうが自分にも楽だし、みんなにとってもいいことだからだ。
オープンソースを元に作ったプロジェクトはオープンソースにする
これも、我々全員が従っているルールだ。たとえば、Arduinoをベースにして何かを作ったときは、Arduinoがオープンライセンスだから、同じようにオープンライセンスにしなければいけない。ときどき、Arduinoのクローンが非商用ライセンスで発表する人がいる。なぜそうするのかと尋ねると、たいていはこう答える。「Arduinoみたいに、勝手にコピーされたくないんだ」と。プロジェクトが普及してからオープンに切り替える人もなかにはいる。私に言わせれば、Arduinoのシールドはオープンにすべきだ。でも、ここは意見の分かれるところでもある。
コードとデザインに付加価値をつける
コードをコピーして、名前を変えたりして自分の作品だと主張するなんてことは、コミュニティにとって価値のある行動ではない。ロゴや名前よりももっと価値のあるものを付け加える必要がある。オープンソースハードウェアを作っている会社の多くは、コードやハードウェアのオープンソース化や共有のために、多額の予算と人を当てている。自分の製品として出荷するために、ひとつかふたつの変更を加えるだけというのでは評判を落とす。実際にそういうものもあるが、非常に希だ。しかし、これはもっともオープンに語られるべき「暗黙のルール」だ。コピーして改良することと、コピーしてそのまま売ることは、まったく別の話だ。私は、コピーして改良して売るというのが大好きだが、ほとんどやらない。ものすごく大変� ��からだ。コピーして部品をひとつ変更した程度のものや、コピーをあたかも自分がオリジナルの開発者であるかのように見せかけたもの、つまり付加価値のないものは、オリジナルの開発者にサポートの重荷を負わせることになるし、話が合わないのでノンカスタマーが混乱する。めちゃくちゃなことになる。
オープンソースハードウェアを機能させるためには、オリジナルの開発者をできる限り助ける必要がある。そして、コピーと再発行に関するルールを伝えていく必要がある。人でも企業でも、オープンソースソフトウェアやハードウェアをベースに作った製品をクローズにすることはやめてもらいたい。共有とは、常に双方向なのだ。
クローンはクールじゃない
またArduinoを例に使おう。オープンソースハードウェアのイメージキャラクターだからね。プロジェクトの目標がArduinoのクローンを作ることで、コードにもハードウェアにも改良を加えないつもりなら、別のものを作るべきだ。私は、そのまんまのクローンを作っている会社をいくつか知っている。まぎらわしい名前をつければ、社会的に認知されると思っている。そうはいかない。初心者は、どれが本物の、品質もサービスもサポートもしっかりしたArduinoなのかがわからず混乱する。たいていの場合、それらの点でクローンは劣る。世界中の「Arduinoキラー」を箱一杯持ってるが、どこにも付加価値がないものばかりだ。まったく身勝手な製品だ。私は、ニセArduinoを買ったパートナーや子供たちから、毎週数十通のメールを受け取る。� �常に動作しない。eBayの出展者やインチキなショップがサポートもしてくれないといった苦情だ。そうした業者は、さんざんクローンを作られたあげくに、まともな神経の持ち主なら、サポートがどれほど大変かを思い知ってオープンソースから手を引いてしまう。
お客さんをサポートする
面倒なサポートをコミュニティに丸投げすればよいという料簡で、ただArduinoクローンが作りたくてオープンソースハードウェアに手を出そうとしているのなら、それはまったくフェアじゃない。時間やリソースを費やしてチュートリアルを作り、フォーラムを立ち上げ、お客さんサポートしなければいけないのだ。またまたArduinoを引き合いに出すが、Arduinoクローンを買う人が後を絶たず、彼らはサポートをArduinoチームに求めてくる。なぜなら、その製品はArduinoだと言っているからだ。オープンソースとは、よりよい物を作るための手段だ。誰かにサポートを丸投げすることではない。自分から仲間に入って、お客さんをサポートして初めて、お客さんから大切なものが得られるのだ。
オープンソースハードウェアの周囲にビジネスを展開する
ベンチャー投資家から資金を受けて、新しくオープンソースハードウェアのソーシャルネットワークか何かを始めるために、誰かオープンソースハードウェアを提供して欲しいと思ったら、自分もオープンソースにならないといけない。オープンソースの考え方に同調して、そこでビジネスを金儲けをしたいのなら、オープンソースに相応のものを与える必要があるのだ。例を示そう。オープンソースハードウェアの「Dropbox」を作るとしよう。いい考えだね。しかし、その利用者がオープンソースハードウェアライセンスのもとにすべてのファイルを公開しなければならないという決まりがあれば、あなたもそれに従って、あなたの側もオープンにするべきだ。そうでなければ、話がおかしくなってしまう。「オープン」という言葉には 、明らかに市場価値がある。私たちが見てきたスモールビジネスは、多くがその立ち上げの時点でオープンソースの恩恵を利用したいと考えていた。新しい会社でオープン生態系の中に入りたいならば、あなた自身も相応の貢献をしなければならない。すべてを捧げろと言っているのではない。自分の事業に見合うだけの価値をオープンにすればよいのだ。
デザイナーの望みを尊重する
私たちはいつでも電子メールで互いに話し合うことができる。オープンソースハードウェアの作り手たちは、他人のプロジェクトのクローンを作るときに条件を言われることもあるだろう。たとえば、「これを使って子犬を殺さないでくれ。いいね」みたいに。あなたが作ったオープンソースのCNCマシンから子犬を潰す機械を作る人がいたとしても、オープンソースの世界では誰もそれを止められない。とは言え、相手が危ない方向へ進んでいるとわかれば、オリジナルの開発者がそれを止めようとするのは、何もアンフェアなことではないと私は思う。オープンソースハードウェアのプロジェクトがちょっとばかり「ハイジャック」されて、オリジナルの開発者がそれを心配するという場面をたまに見る。そんなときは、誠意のある簡� ��な言葉が効く。「私のプロジェクトを何に使おうと自由だけど、子犬を潰す機械は見たくないな」のようにね。これはじつは難しい問題だ。厳格に法律を守りたい人たちは、こうした話に耳をふさぐ。彼らからすれば、ライセンスの弱さを指摘されているのと同じだからだ。でもそれは違う。我々はコミュニティであって、いつでも話し合いで決められるというのは強みなのだ。今から100年後には、今これを読んでいるみんなはもうこの世にいないかもしれない。だから、私たちはコミュニティとして、そのプロジェクトを初めて世界に公開した人のことを尊重する必要があると思う。ライセンスに関するReadmeや、プロジェクトの解説ページに、そのプロジェクトの理想的な使われ方を記しておくのもよい手だと思う。もちろん、みんな� �それを順守するとは限らない。だけど、枠を設けることや、趣旨を語ることには意味がある。みんながどう考えるかわからないけど、私たちは自分の作品に特別な感情を抱く人間だ。それは弱みではない。強みなのだ。
いつかオープンソースハードウェア財団ができたときは、全員で支える
いつの日か、どこかの偉い人が、ここで私が何度も語ってきたようなことを話し合える財団を創設してくれるだろう。それは私たちのコミュニティを支援してくれるものだ。私は財団という柄ではない(私はどちらかと言えばオープンソース製造会社の社長でいたい)。それに、言いたいことが山ほどあるから、私では話がまとまらないだろう。
蛇籠バスケット石を作る方法
誰だって、じっくり時間をかければひとつやふたつ、大きな事業を実現させることができる。だけど、オープンソースハードウェアのような重大なものを扱う財団となると、私には荷が重すぎる。だけど、ひとつだけ言えるのは、私は資金面での支援はするし、オープンソースハードウェア関連業者の多く、すべて、またはほとんどもそうするだろうということだ。私はオープンソースハードウェアで食っている。だから財団ができれば資金援助はする。他のみんなにもそうするよう促す。私はOpen Hardware Summitにも寄付をしているから、それほど大したことではない。今、私はAdafruitの従業員一人あたま400ドルずつ寄付するように言うことができる。25人いるから1万ドルだ。それが私の本業からの寄付金になる。それほど重要なことなのだ。私は財団が実現するように尽力したい。他の企業もそれにならってくれることを期待する。従業員数で寄付金を決めればフェアだ。自宅のキッチンでひとりで25個のキットを作っている売っている人も、100人の従業員がいる工場でも、一人当たりの負担が同じだからだ。
以上の話は、とっても重大な問題だ。みんなで大いに議論してほしいと願っている。だが、これらはあくまで、私の個人的意見であることを断っておこう。私はオープンソースハードウェア運動について語っているのではない。それでは議題が大きすぎて語れない。私が「私たち」と言っているときは、それがオープンソースハードウェアのコミュニティで一般的な慣例になっていることだと思ってほしい。私は、オープンソースハードウェアの作り手たちと長年にわたって語り合ってきた。なかには、長い間に一度や二度、仕方なく暗黙のルールを破ってしまった仲間も少なくないが、それはすぐに修正されたものと私は信じている。こうした問題を記事にするとき、私はいつも重い責任を感じる。この記事がみんなの役に立つかど� �かは、すぐにはわからない。私の仕事はすべてがオープンソースであるとは限らないが、自分でオープンソースだと明言したときは、技術的にも社会的にもみんなが期待するオープンソースの形に適合するように最大限の努力をしている。それでは、みんなの意見を聞かせてくれ。
- Phillip Torrone
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai | Mar 2, 2012 12:00 AM
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February 20, 2012
プラスティック材料を積層していくタイプの高速プロトタイピングは、家庭やホビーユーザの手の届くところにやってきた。しかし、常識的な予算で金属を使った高速プロトタイピングをしたいと思ったら、削り出す方式に限定される。フライス盤のようなCNCマシンを使う方法だ。だからと言って「安価」なわけではない。Shapewaysのような業務用の3Dプリントサービスでは、ステンレスや金を使った金属の積層型モデルを作ってもらえるが、非常に高価だ。こうしたサービスが使っている3Dプリンタは「レーザ焼結型」と呼ばれ、ホビイストがお小遣いで買えるRepRapなどの熱溶融積層式(ロボット式ホットグルーガンみたいなもの)とは根本的に違うものだ。
粉末焼結積層造形法(SLS)では、薄く敷かれた粉末にレーザを当てて凝固させ、薄い層ごとに図形を描いていく。ひとつの層ができたら、その上にまた薄く粉末が敷かれ、次の層が焼き付けられる。
スウォースモア大学工学科の学生、Andreas Bastianは、低価格でオープンソースのSLSプリンタを開発した。赤外線レーザダイオードを使ってワックスとカーボンを混ぜて作った粉末を焼き固める仕組みだ。これによりワックス製のモデルができる。これは、昔ながらのロストワックス鋳造法の原型として使うことで、アルミニウムなどの金属モデルにできる。以前にも、同様のシステムの記事を書いたが、熱線でスタイロフォームを切って立体物を作るCNCマシンだった。それでも、ロスト「フォーム」鋳造法で金属モデルを作れる。とは言え、それは削り出し方式だ。積層式のSLSと違って作れる形に制限がある。[Hack a Dayより]
- Sean Ragan
訳者から:SLSはSelective Laser Sinteringの略。レーザ積層造形法とか粉体造形法などとも呼ばれます。
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai | Feb 20, 2012 02:00 AM
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January 23, 2012
Arduinoがどのように作られているかを見てみたいという人は、PhilとLimorが訪れたイタリアはトリノのArduino工場の写真をどうぞ。部品を配置するマシンとか、大型の工作機械がかっこいい。
- John Baichtal
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai | Jan 23, 2012 02:00 AM
Arduino, Open source hardware | Permalink | Comments (0)
MITの学生、Matthew Keeterは、かわいいポータブル音楽プレイヤーを設計製作した。ニール・ガーシェンフェルドのかの有名なHow to Make (almost) Anything クラスの卒業製作だ。ケースは、3つの8角柱を組み合わせた形状になっている。部材は5.2mm厚の合板をレーザカットしている。操作系は容量性タッチセンサを使った5つのボタン。音楽データはSDカードでプレイヤの背面から供給する。プリント基板は両面式で、プリント基板用のロボット・フライス盤で切り出した。すべてのソースファイルが公開されている。
- Sean Ragan
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai | Jan 23, 2012 12:00 AM
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January 12, 2012
我らが友人、Open Source Ecologyは、世界中ですばらしい活動をしているが、現在手を貸してくれるいろいろな技術分野の人たちを募集している。ところでOpen Source Ecology(OSE)って?
Open Source Ecology は、農業家、技術者、支援者のネットワークからなるGlobal Village Construction Set(GVCS:グローバル村建設セット)、つまり、モジュラー式の、自分で作る、低価格で、オープンソースな高性能プラットフォームです。これを使えば50種類の工業機械を簡単に組み立てることができ、時流に即した小さくて持続可能な文明を作り出せます。先日、OSE Christmas Gift to the Worldが発表された。これには、製品資料と、Tractor(トラクター)、Power Cube(発電機)、Soil Pulverizer(土粉砕器)、CEB Press(泥レンガ製造機)の4種類の機械の作り方に関する完全情報(3D CAD、2D設計図、詳細な組み立て図、オープンソース溶接台のCAMファイル)が含まれている。GVCSが目指すものは、農業、建設業、製造業への敷居を低くすることです。これは、このプロジェクトが始まったミズーリの田舎でも、開発途上国でも、経済全体を作ることができる実物大のレゴなのです。
OSEの使命に賛同して、少しだけ時間を割いて手を貸してもよいという人は、多くの人の人生を変えるかもしれないこのプロジェクトに参加してみては? このブログ記事に、彼らの目標と、彼らが手伝って欲しい11の仕事が書いてある。opensourceecology.gmail.comに申し込んでほしい。
OSEのより詳しい話は、創設者、Marcin JakubowskiのTEDでの講演を聴くとよくわかる。
- Goli Mohammadi
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai | Jan 12, 2012 12:00 AM
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January 11, 2012
最新型MakerBot 3Dプリンタのニュースを聞いて興奮した。名前は「Replicator」(リプリケータ)。デュアルエクストルーダ(エクストルーダ=押出装置)やインターフェイスコントローラなど、この1年ほどで加えられた改良点がすべて含まれている。製作スペースは9×6×6インチ(約22.5×15×15cm)、ステップストルーダがひとつのタイプと2つのタイプがある。
内蔵されたインターフェイスコントローラは非常に賢く、コンピュータを接続しなくてもプリントができてしまう。
MakerBot Replicatorには、液晶パネルとビデオゲーム式のコントローラパッドが標準装備されました。液晶画面にはビルド情報とモニタ情報が表示され、コンピュータをつながなくても完全にコントロールができます。SDカードスロットからモデルデータをロードすれば、コントロールパッドを使ってそのままプリントできます。MakerBotをカバンに入れて、SDカードといっしょに持ち歩けば、友だちのお誕生パーティーでパーティーグッズを作りまくったりできます。どこでもプリントが楽しめるのです!
もっとも驚くべき変化は、技術的なことではなく、販売ターゲットだ。インターフェイスコントローラが内蔵され、キットではなく完成品のみの販売となる。つまり、MakerBotはこれまでより、技術から遠い人たちを狙っていると思われる。ハッカースペースじゃなくて学校とかね。
それでも、オープンソースだってことはうれしい。一般ユーザーに一歩近づいたわけだけど、それでもオープンソース企業としての原点を見失っていない。
MakerBot Industriesは共有の力を信じています。私たちはMakerBotのオペレータたちに呼びかけて、デザインをThingiverseで公開するよう奨励しています。その作品に刺激を受けた人たちが、それを元に新たな作品が作れるようにです。私たちは、レーザーカット用ファイルやソフトウェアなども含む、このマシンの設計と仕様を公開することで先鞭を付けました。
MakerBot ReplicatorはMakerBot storeで販売されている。価格は、シングルエクストルーダタイプが1,749ドル。デュアルエクストルーダタイプが1,999ドル。
訳者から:デュアルエクストルーダタイプでは「2色刷り」ができるそうです。
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai | Jan 11, 2012 12:00 AM
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November 4, 2011
朝起きたら、見ず知らずの人がまったく無断で、あなたが開発した電子回路を製品に使っていた。使用料などは一切受け取っていない。その製品の価格は31,000ドル以上もする。彼らは、あなたが心血注いで作り上げた回路で儲けようとしている。あなたの回路が、どんなものに使われるのか、あなたには手出しも口出しもできない。これって、悪夢じゃない? ある人にとっては悪夢だが、これが理想の世界だと言う人もいる。これが今週のSoapboxのテーマだ。オープンソースハードウェアがKickstarter(キックスターター)をキックスタートする!
では始めよう。:)
Kickstarterは、物を作る人たちの間で、瞬く間に大人気の高い資金源となった。世界最大の資金支援基盤とも言われている。それには十分な根拠がある。
Kickstarterの「後援者」が100万人を越えた。それだけではない。まだある。
Kickstarterの後援者たちは、プロジェクトに対して1億ドル以上もの支援を約束した。他の基金と比較してみると、たとえば全米芸術基金の2011年度の予算が1億5400万ドルだ。毎週200万ドルずつ支援額が増えているKickstarterの今のペースが変わらないとすると、1年間に1億ドル以上もの支援が約束されることになる。
このMakeでもどんどん増えている。斬新なアイデアを持ってない? それを実現させるための十分な技能がある? ならばKickstarterにプロジェクトを提出してみよう。それが彼らのガイドラインに合えば(ここに彼らの好みが関与する)、プロジェクトを公開して資金を募ることができる。資金の平均は71ドルだ。後援者の出資金額でいちばん多いのが25ドル。資金援助をすると、製品のTシャツなどのような記念品がもらえるのも、出資を促す要因になっている。
今までにいちばん多くの資金を得たプロジェクトは何か? それはAn iPod nano watchだ。ほぼ1億ドルの資金を獲得している。では、彼らのガイドラインとはどんなものか? 以下が概要だ。
- プロジェクト:Kickstarterは音楽アルバム、映画、製品など、はっきりとした目標があり、商品化が期待できるプロジェクトに資金を提供するものです。
- プロジェクトには創造的な目的が必要です。
- 慈善事業や活動のための資金は出しません。
- 「生活費をください」プロジェクトには出せません。
- 報酬:金銭以外の出資誘引が必要です。
Kickstarterには「school」というページもあり、優れた「キックスターター」になるための方法をステップバイステップで教えている。
どんなタイプがいちばん資金を得ているか? 今のところ、デザインと技術のカテゴリーだ。これは納得できる。それが欲しいかどうか、支援したいかどうかがわかりやすいからだ。
しかし、プロジェクトの多くはオープンソースだ。つまり、資金援助を受けて作ったソフトウェア、ハードウェア、回路図、コードなどは、すべて公開してしまうことになる。そこは好感の持てるところであり、優れたプロジェクトや私が好きなプロジェクトの社会性が示されるところだ。
ではなぜ、オープンソースにするのか? ただそうしたいから、という理由もあるだろうが、オープンソースのプロジェクトを利用しているからという理由もある。オープンソースを利用すれば、自分で開発する労力を削ってお金が稼げる。元のオープンソース・プロジェクトと同じライセンスで発表して、変更点を公開すればよい。ソフトウェアの場合は、これがすごく便利だ(今は世界はフリーソフトの上に成り立っている)。ハードウェアの場合も、オープン化に人気が集まっている。どうしてか? その理由は、後ほど実際のMakerに話を聞くとして、まずは私の意見を述べる。オープンソース・ハードウェアは、より多くのKickstarter利用者の原動力になりつつあるのだ。
なぜ飛行機はモーターを持っていますか?
- Kickstarterは、プロジェクトの目的を果たすための資金を援助するものだが、資金を獲得するためには、デモやビデオを作って自分のアイデアが現実的なもので実現可能であることを訴える必要がある。オープンソースハードウェアを使えば、何をしたいのかを見せやすくなる。形にするのも早い。既存のオープンソースハードウェアを使ったプロトタイプ、ブレークアウトボード、改良、改変など、オープンな設計の利用が成功につながるのだ。
- 電気の専門家はほとんどいない。アイデアを思いついてプロトタイプまで作れる人は多いが、プロの電気技師になるための時間はない。しかし、プロの技師が仕事として作った優秀なオープンソースハードウェアがあれば、みんなはその高度な技術を利用して自分のプロジェクトを作ることができる。
- 技術系プロジェクトの場合、最終的な製品にする段階で、技術者を雇ってコンサルティングを受ける必要がある。
- オープンソースのツールとソフトは無料で使えて、商用利用も可能。
- オープンソースハードウェアを作った側は、Kickstarterプロジェクトで加えられた改良点を逆に取り込むことができる。
- さらにオープンソースハードウェアを作った側は、自分のプロジェクトが、いつどのような形で使われたかを知ることができる。市場調査、フォーカスグループ、リスク管理がすべて無料で行えるということ。
- 一部には、Kickstarterプロジェクトのオーナーが、あなたのプロジェクトをベースにした製品を大量生産して販売したいので、あなたのプロジェクトも大量に作って欲しいと逆に発注されることもあるだろう。それは、クッキーのレシピを公開したら、それがあまり美味しかったので、特別バージョンで焼いて欲しいと仕事の注文を受けるようなものだ。
ここに、Kickstarterプロジェクトにオープンソースハードウェアが使われた例と、プロジェクトそのものがオープンソースであった例の中から、私が素晴らしいと思ったものを紹介しよう。
259,000ドル
76,000ドル
53,000ドル
26,000ドル
18,000ドル
8,000ドル
8,000ドル
38,000ドル
ここらで疑問に思う人もいるだろう。たしかに、オープンソースハードウェアが使われた面白い製品がKickstarterから世に出ることもあるかもしれないけど、実際にそうしている人はいるのか? 誰がそんな話をしているんだ? とね。私がそれを知っていて話をしているのか、それとも、またいつものように、オープンソースハードウェアはいいものだと扇動しているだけなのか。
そういう人は実際にいる。私はbootstrapsolar.comのRyo Chijiiwaにインタビューをした。彼は、オープンソースハードウェアを使った私の好きなプロジェクトの開発者で、最近、Kickstarterから資金を得た。それは、私も開発を手伝ったAdafruit(ニューヨークのオープンソースハードウェアのメーカー)の技術を元にしている。オープンソースハードウェアを利用したプロジェクトはたくさんあるが、そのなかでもこれは私がよく知るものであり、Kickstarterで資金を獲得できたことをうれしく思っている。
彼がどのようにしてエレクトロニクスの世界に入ったのか、そのときオープンソースハードウェアはどんな役に立ったのかを、彼自身の言葉で語ってもらおう。大勢の人から資金を集めて行うプロジェクトとはどんな感じなんだろうか。貴重なMakerの証言だ。では、Ryoにご登場願おう。
インタビューに応じてくれてありがとう。
こちらこそ、ありがとう。
まずは自己紹介を。
私の名前はRyo Chijiiwaです。ソフトウェア技師としての教育を受け、Yahoo!やGoogleなどのシリコンバレーの企業で働いていたことがあります。2009年に会社をやめて、カリフォルニアの北東地区に未開の土地60エーカーを購入しました。そこで2年間、「ミニマリストの快適性」と自分で言っているのですが、そんな生活を追求しました。それは、2軒目の小屋を建て、冬期に1カ月間、自分の土地から一歩も外へ出ずに過ごせたときに達成できたと考えています [1]。それから2カ月間、日本の震災復興ボランティアに参加したあとに、文明社会に戻ってきました [2]。
エレクトロニクスを作ろうと思ったきっかけは?
ホントのことを言って、物作りはすごく好きだったのですが、これが、中学校以来、初めてのエレクトロニクス・プロジェクトなんです(プログラミングは高校で目覚めました)。
このプロジェクトを思いついたのは、日本で3月に起きた大震災と津波の直後でした。もっとも被害の大きかった地域で、驚くほど多くの被災者が話してくれたのですが、食料、水、燃料、薬品といった必需品の次にいちばん欲しいと思ったのが、携帯電話を充電する方法だということでした。これは現代的な問題だと感じました。今ほど私たちは、あの小さなデバイスに依存している時代はありません。この現象は、高性能なスマートフォンの登場によって、さらに広まるはずです。
被災による問題は数多くありますが、これは比較的簡単に解決できるものだと感じました。私が山小屋で暮らしていたとき、唯一の電源は、ちっぽけな145Wのソーラーパネルだけでした。その程度のものでも、数台の携帯電話を充電するには十分で、安いし扱いも簡単です。100~200ドルの装置で携帯電話5台は充電できることを私は知っていました。それによって、外の世界とのつながりを保つという体験をしていました。
1カ月後、私は日本に飛び、もっとも被害の多かった地区のひとつである岩手を拠点にしたアメリカ人組織によるボランティア活動に参加しました。そこで私が行ったのは、約10名のボランティアを連れてこの隔絶された街に入り、津波に襲われた人家の中に文字通りキャンプを張りました。電気は来ていません(壁も半分ありません)。私たちは3つの拠点を作って作業しましたが、それらを束ねるためには携帯電話が必要でした。もうおわかりでしょう。携帯電話の充電にとても苦労したんです。ボランティアの1人はソーラー式充電器を持っていましたが、ほとんど使い物になりませんでした。
その後、BootstrapSolarを立ち上げようとしていたときに、あのときの体験から、ポータブルなソーラー式携帯電話充電器を作ろうと閃いたのです。ソフトウェア技術者なら、今あるものに満足できなければ自分で作るというのが普通です。エレクトロニクスの経験はほとんどありませんでしたが、それと同じメンタリティーでスタートさせたのです。
BootstrapSolar とは?
BootstrapSolarは私の会社の名前です。まったく資金のないところから自力で立ち上げるわけで(2年半無職でしたから)、文字どおり、bootstrap(ブートストラップ:自力でやること)だったわけです。ハードウェアの会社を立ち上げるには、天才であるか、資金がたっぷりあるかのどちらかでないと難しいのが実情ですが、私は天才ではないし、すっからかんでした。だから、創造的になろうと考えたのです。
事業提案書を書いたり資金集めをするより、まずは製品を作ってから自力で立ち上げていこうと考えました。ソフトウェア業界で普通にやっているようにね。最初に思いついたのは、災害時用のものです。避難所にしまっておけるキットや、災害時に配布できるものです。しかし、いろいろ考えるうちに、もっと小さくて幅広い人たちに使ってもらえるものがいいと思うようになりました。日本と私の土地での経験を元に、安価ながら実用的なパワーのあるソーラー式の携帯電話充電器を作ろうと決めました。私が作ったのはそれです。
BootstrapSolar Power Pack Kit(そのあとすぐにChi-qooと改名)[3] は、ポータブルなソーラーデバイスで、携帯電話やiPadや電子書籍リーダのような小型の電子機器に充電ができます。5Wのソーラーパネル(オプションを追加すれば10Wまで拡張可能)、6000mAh/22Whのリチウムポリマ電池、1.5Aまで対応する2つのUSBポートを備えています。竹製のケースがつきます。キットで販売する予定なので組み立てが必要です(ハンダ付けは必要ありません)。仕組みは極めてシンプルです。ソーラーパネル(またはバックアップとしてコンセント)から内部バッテリに充電します。その電気をUSBポートを使ってデバイスに充電します。
Kickstarterを使おうと思ったわけは?
自前の予算で実際に使えるプロトタイプを作ることができましたが、これを製品化して販売するには、それなりのお金がいることもわかってました。起業家の友人に相談したところ、クールなハードウェアプロジェクトがいくつも利用しているKickstarterを薦められたのです。私は、大勢から出資を募るという理想主義的な考え方も気に入りました。シリコンバレーの上場企業で働いていたとき、私は昔ながらの投資家や株主たちに幻滅していました。いわゆる「企業欲」というものが、企業が成長することによってのみ利益を得る株主たちに由来していると感じられたからです。そのため、株主は企業に成長を強要します。まるで癌のごとく、永遠に成長するようにです。役員たちは合法的に株主に資するように働くため(普通は役員自身 も株主です)、こうした力学のために、企業は社会的あるいは環境的コストが高くつく仕事をせざるを得なくなります。これは準最適モデルです。それに代わるの有望な選択肢のひとつがCrowd-funding(クラウドファンディング:大衆から資金を調達する仕組み)です。これを使えば、ウォール街を回避できます。
オープンソースのハードウェアとソフトウェアは、どのように役に立った?
オープンソースのハードウェアとソフトウェアがなければ、このプロジェクトは実現していなかったと思います。私はこのプロジェクトを6月の末に開始しましたが、7月1日にOpen Source Solar Lipoly Charger [4]がLadyadaから発表されたときは、神の啓示を受けた気分でした。エレクトロニクスの経験がまったくなかったので、自分では絶対に設計できませんでした。誰かを雇って作らせるなんてことは、経済的に不可能でしたし。それがオープンソースであったことが、決定的でした。それを自分の用途に合わせて変更できるわけですから。
ソフトウェアでは、オープンソースのグラフィックソフトInkscapeで竹のケースのレーザカット用データを作りました。市販のグラフィックソフトを購入なければならなかったら、予算の4分の1は吹っ飛んでいましたよ。オープンソースではありませんが、プリント基盤設計用ソフトEagle CADや、3DモデリングソフトのSketchUpなどのフリーソフトも利用しました。
オープンソースハードウェアを元に作ったプロジェクトだけど、あなたはこれをオープンソースとして公開するつもり?
ええ、すべてのデザインをオープンソースライセンス(またはOSH互換のクリエイティブ・コモンズ・ライセンス)の元で公開する予定です。回路設計の一部は、すでにGitHubで公開しています [5]。そのほかのデータも、仕上げができ次第、公開していきます。
BootstrapSolarはクラウドファンディングの支援を受けているので、私も、支出を公にして、ビジネスのあらゆる側面をオープンに透明にする必要があると考えています [6]。これはもともと、シカゴでOpen Produce [7] という、経営の透明性を高めた食料品店を経営している友人の考えでした。
もうひとつ、先日私は、私のキットのクローンをフィリピンで大量生産したいという人から連絡をもらいました。オープンソースハードウェアだからこそ合法的に可能なベンチャーです。それでは私が損をすると考える人もいるでしょう。たしかに、私が自分で販売するキットの価格では、市場で生き残ることはできません。しかし、革新の曲線上で常に先を行っていれば、競争力を維持することができます。クローンであっても、製品を製造して発売するまでには数週間から数カ月という時間がかかります。だから、2カ月にひとつのペースで新製品や新バージョンを出していけば、常に前を歩くことができます。さらに、物作りの経験には、単に物理的な製品以上の価値があります。それがあればコピー商品に勝てると自負しています 。
Adafruitの開発者、Limor "Ladyada" Friedと話したことは?
はい。彼女のソーラー充電回路に私が改良を加えたものを製造販売して、売り上げの一部をもらえないかと頼んだことがあります。これは自分の労力を減らすための策でした。私が彼女のデザインを利用したことで、彼女にも儲けがあるわけです。実現はしませんでしたが、これからも、いろいろな製品を買って彼女を応援したいと思ってます。私は個人的には、オープンソースは共有することだと考えています。私のようにオープンソースを利用するものは、どこかにその利益を還元しなければいけないと思っています。
あなたのプロジェクトの目標は?
今のところはキットの製造で手一杯です。BootstrapSolarはワンマン経営なので(インターンを2人ほど雇うことを考えてますが [8])、仕事が山ほどあります。それに、日中はフルタイムの仕事を始めてしまったので、2つの仕事をなんとかこなすことでいっぱいいっぱいです。昼間の仕事を終えると、その足でTechShopに向い、深夜に閉店するまで、BootstrapSolarの製品を作って、帰宅するという毎日です。帰宅と言っても、実は昼の仕事をしている建物の中の空き部屋です。忙しすぎて、アパートを探す時間もありません(そんな気にもなれません)。毎晩、私はKickstarterの後援者から送られるメッセージに返事を書きつつ、回路設計やレーザーカット用のデザイン変更に没頭しています。だから、当面の私の目標は工房を持つことです。それが実現すれば、もっと多くのアイデアを効率的に進めることができます。究極的には、BootstrapSolarを経済的にも環境的にも持続可� ��なビジネスにしたいと考えています。そしてもちろん、世界制服です。
この製品がうまくいったら、また Kickstarter を使う?
私はKickstarterの基本的な考え方が好きなんです。創造的なプロジェクトに対して最上級のサービスをしてくれると思っています。とは言うものの、私はKickstarterを、彼らが本当に意図しているのとは違う形で利用している部分もあります。なので、私が本当にやりたいと思うことができない困難もあります。たとえば、後援者のほとんどが予約を入れてくれますが、個別のオーダーに手作業で対応しなければなりません。また、後援者への報酬の形や、資金の使い方にも制限があります(たとえばカーボンオフセットの購入はできません。カーボンオフセットには「金銭価値」があるからです)。ルールのなかには「Amazonペイメント」に関連するものもありますが、特定の人の事情に合わせたルールもあるようです。
蒸気が使用さ過熱されている
私のプロジェクトはうまくいきました(私が提示した目標の400%をわずかに下回るでした)が、私は最初、彼らの趣旨にそぐわないとして断られているのです。彼らの言うことも、ある程度はわかります。私はこの最初のキットの売り上げから、次のプロジェクトの資金を作ろうと考えています。しかし、またクラウドファンディングを利用したいと思ったときは、別のサービスを選ぶでしょう。Kickstarter以外のものがあるかどうかは知りません。なかったとしても、もっとスモールビジネスに対応したクラウドファンディング・サービスが現れるのは時間の問題だと思います。
[0] http://www.bootstrapsolar.com
[1] http://laptopandarifle.wordpress.com/project-31/
[2] http://www.youtube.com/watch?v=AwU?meig7k
[3] http://www.kickstarter.com/projects/ryochijiiwa/bootstrapsolar-portable-power-pack-kit
[4] http://www.adafruit.com/products/390
[5] https://github.com/ryochiji/BootstrapSolar
[6] https://docs.google.com/spreadsheet/ccc?key=0AvQAiC0IZUdbdHU2V3BRZkNTUEo4cmNfMTFRZHVOeXc&hl=en_US#gid=0
[7] http://openproduce.org/
[8] http://bootstrapsolar.tumblr.com/internships
Kickstarterは最初のクラウドファンディング・サービスではないことを指摘しておきたい。最後でもない。あのスターバックスもサービスを検討中なのだ。以下はスターバックスの CEO、Howard Schultz の考えだ。
アメリカ人は、スターバックスを仲介者として、自らのスモールビジネスを支援するようになる。スターバックスは、スモールビジネスへの投資を目的とした金融サービスを開始する。スターバックスの客は、コーヒーを買う際に寄付ができる。5ドル以上の寄付をされた方には、赤と白と青のリストバンドが贈られる。それには「Indivisible」(不可分)というSchultzの言葉が刻まれている。「これによってアメリカンドリームが誇りを取り戻すことを期待している」とSchultzは語っている。キャッチフレーズはこうだ。「アメリカ人がアメリカ人を支援する」
最後に、愛のあるこのKickstarterプロジェクトを紹介しておこう。
Makerムーブメントが広がるにつれて、私たちはいくつもの目標を達成してきた。作ったものを共有する方法(MAKE magazine / MAKE blog / Maker Faire、Make: Projects、Instructables)、人と出会って物を作る場所(ハッカースペース、TechShops、ミートアップ、DorkBots)、作るためのツール(Inkscape、MakerBots、レーザーカッタ、gEDA、kiCAD)、作ったの物を売る方法(Etsy、キットビジネス、Maker Shed、直販)、そして、プロジェクトの資金を得る方法(Kickstarter)もある。夢に描けば作れる。そして今やそのための資金も得られる。それが現実になった。さらに、オープンソースハードウェアを使えば、それを利用すると同時に、元のデザインに価値を還元することもできる。今、私が興奮しているのはその点だ。オープンソースハードウェアがもっと増えれば、Kickstarterにもさらに素晴らしいプロジェクトが登場するはずだ。
- Phillip Torrone
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai | Nov 4, 2011 12:00 AM
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October 20, 2011
オープンソースハードウェアのメーカー、littleBitsが第一回の決算を迎えた。そして、MoMAコレクションに加わることも決まった。創設者のAyahの言葉だ。
littleBitsにとって、ビッグなビッグな日でした!まずは、最初の決算を無事に終わらせることができましたことを報告します。3年半の手探りの研究開発(つまり血と汗と涙)の末、littleBitsは世界トップクラスのテクノロジーリーダーの出資を受けることができました。その中には、私のヒーローであるJoi(伊藤穣一)とニコラス・ネグロポンテも含まれています。
MIT Media Labの学生として、私は、テクノロジーは創造力を支える道具として何ができるか、というニコラスのビジョンを、直接、体験することができました。littleBitsは組み立て式の電子回路システムです。磁石で接続でき、試作や遊びに使えます。まさに、モールや竹ヒゴに相当する21世紀の工作おもちゃです。私たちが店で買うエレクトロニクス製品と、私たちが作るものとの垣根を取り払い、次世代の問題解決能力を育てます。
私がフェローを務めているクリエイティブコモンズの前CEOであるJoi(現Media Labディレクター)は、創造的な社会はオープンであるべきだという私たちの信念を具体化し、オープン化を新しいレベルへ引き上げてくれました。littleBitsはオープンソースです。設計変更やインターネットでの共有を進め、互いの創造性を学び合うという建設的なコミュニティを作りつつあります。Joiが力を貸してくれて、彼の基金(Neoteny Labs)が今期を支えてくれたことを、本当にうれしく思います。これは、彼がオープンハードウェアに対して行った初めて投資であり、これによってオープンハードウェア運動はさらに勢いづくことと思います。
今期は、このほかにもテクノロジー界の大物が支援してくれました。アラブ世界からは、レバノンの通信事業の先駆者Taha Mikati、アメリカで上場した初めてのアラブ系企業AramexのCEO、Fadi Ghandour。また、ベンチャーの守護者である個人投資家のJosh Spear、Jason Port、Joanne Wilson、Salah Chammaといった面々も投資してくれました。
もうひとつ、昨日知らせがあったのですが、littleBitsがMoMA(ニューヨーク近代美術館)に所蔵されることになりました! つまり、Bitsの最初のモデルがピカソとポストイットの間に展示されることになるのです。言うまでもなく、ものすごく名誉なことです。littleBitsはすでに、Talk To Me(2011年11月7日まで開催されているMoMAの特別展)において、現代の素晴らしいインタラクティブ作品のひとつとして展示されています。
この1年は、ほんとうに素晴らしい1年でした。New York Times MagazineやInc Magazineにも取り上げられ、Maker Faireでは最初のスターターキットを販売でき(残りあとわずかなので、欲しい方はお急ぎを!)、Editor's Choice Awardまでいただきました。
次はなんでしょう? 私たちはウエストビレッジに素敵な共同スペースにオフィスを構えました。現在、ライブラリを充実させる新しい30のモジュールを開発中です。また生産能力も拡大する予定です。なかでもいちばん楽しいのは、学校の先生たちと協力して、授業や放課後の活動、または大学でもlittleBitsを使ってもらう計画を進めていることです(興味のある方はメールをください)。
そして、スーパースターを育てたり、スーパースター(または将来のスーパースター)を訪ねたりして、私たちのコアチームに引き入れたいと考えています。私たちの使命に同調される方々に、ぜひお会いしたいと思っています。
Ayah、そしてチームのみなさん、おめでとう。この間、彼女はオープンハードウェアサミットの副会長も務めてくれていた。そのお陰もあって、littleBitsは出資を受けた4番目のオープンソースハードウェア(Chumby、BugLabs、MakerBot、そして littleBits)となったのだ。
- Phillip Torrone
編注:日本では、スイッチサイエンスでlittleBitsスターターキットが販売されています。
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai | Oct 20, 2011 12:00 AM
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October 6, 2011
私はOpen Hardware Summitに参加できなかったのだが、Bunnie Huangの講演「オープンハードウェアの本当の時代がこれからなのはなぜか」で語られた展望には刺激を受けた。一個人が技術系大企業と対等に張り合えるようになるという未来予測だ。
現在、オープンハードウェアはひとつのニッチ産業です。ここで私は、小さな企業や個人開発者の力によって大企業が廃業に追い込まれるという傾向に注目しましたが、20年30年後の未来には、パワーバランスを引っ繰り返して、大きな革新をもたらす根本的な転換の流が起こると私は見ています。 <...> すでに、これからの数十年間にオープンハードウェアの生態系が開花する方向に舞台は定まっています。それには、ある程度の努力とちょっとした幸運が必要ですが。ムーアの法則のスローダウンは避けられません。これが今の技術系大企業には打撃となりますが、同時に、よちよち歩きのオープンハードウェアが根を伸ばし、大きく成長し始めるための好機となります。この機会を掴むには、今のオープンハードウェアの先駆者たちが、文化を育て、未来に向けて拡張可能な、自由で柔軟な規格や商習慣を作り上げることで、その舞台を準備しておく必要があります。
ビデオは公開されてないみたいだけど、要約したブログ記事を読むことができます。Bunnieが使用した OHWS のスライド画像のダウンロードもできます。
- John Baichtal
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai | Oct 6, 2011 01:00 AM
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September 20, 2011
Open Hardware Summitで話題になるであろうものに、Arduino互換ボードの最新機種が考えられる。新機能を追加したものもあれば、単純なクローンもある。オープンソースハードウェアは、Arduinoのようなプロジェクトの上に何かを追加して、それを商売にできる。だから、ほとんどすべてのArduino互換ボードは、Arduinoと同じ条件(商業利用が自由という)で販売されている。オープンソースの恩恵を受けたものは、その返礼をするというのが慣例になっている。Arduino互換ボードを、Arduinoとは異なるライセンスで発売したとしたら、そんなものは受け入れられないだろうし、コミュニティに無視されるだろう。反対に、Arduinoと同じライセンスで提供することで、そのArduino互換ボードは大きな利益を得ることになり、さらにその派生商品に恩恵を与えることに� �る。というわけで、Arduino互換のExtraCoreを温かく迎えよう。
Dustinの記事より...
このプロジェクトを始めたとき、どうして非商用ライセンスで出すのかと、多くの人に聞かれました。率直に言えば、リスクを分散させて、オープンな選択肢を持っていたかったからです。それだけのことです。ここに、私の好きな言葉を引用します。「船を作りたければ、大勢の人を呼び集めて木を集めさせたり、仕事を割り振ったりしてはいけない。無限の大海原に憧れる気持ちを教え込むのだ」 - アントワーヌ・ド・サンテグジュペリ
私は海に憧れています。もちろんメタファーとしての海ですが。私の海には、あらゆるものを作る方法や意味を知っている、ものすごく多くの人たちがいます。インターネットを使えば、自分のうちでも隣のうちでも、設計図をプリントアウトできます。まったく機能しない知的所有権など、簡単に回避できます。やり遂げようという決意さえ持てば、かならず実現すると私は信じています。私たちは次なる黄金時代の先駆者なのです。みんなで、すべての人のための、物作りの低価格なツールを持ち寄り、子供たちの、科学や工学やプログラミングを学び愛する心、物作りを愛する気持ちを育てるのです。今は暗い時代なので、リスクを分散して選択肢をオープンにしておきたいと考えがちです。腕のいいギャンブラーはリスクを分散� ��ません。もし、あなたに時代を切り拓く気概があれば、賭けに出るべきです。そうでない人は立ち去るべきです。
そして、これが私の賭けです。私はMakerに賭けました。このプロジェクトと、自分自身に賭けました。今のところ、このプロジェクトはクリエイティブ・コモンズ 表示 3.0 非移植(CC BY 3.0)ライセンスで提供されています。自分たちは世界を変えられると、私は心底信じています。
ExtraCore (Arduino Compatible) An Open Hardware project in Duvall, WA by Dustin Andrews @ Kickstarter
訳者から:現在、Kickstarterで出資金が目標を超えたところ。大まかなスペックは、高さ25.4mm、幅22mm、重さ1.7g、AVCCにローパスフィルタ、ブレッドボード対応、Pro Mini用の5V FTDIが使用可能、Atmegaのデジタルおよびアナログピンはすべてボード周辺に順番に配置。電源関連は非常にシンプルでレギュレータなどは付いていない。なるべく安くして、プロジェクトに埋め込んでしまっても「惜しくない」ものにしたいと本人は語っています。
- Phillip Torrone
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai | Sep 20, 2011 12:00 AM
Arduino, Open source hardware | Permalink | Comments (0)
September 6, 2011
WikiHouseはクリエイティブ・コモンズのライセンスの元ですべての人が共有し、改作や改良ができます。WikiHouseは、一般公開されたテンプレートファイルを元に、地元で合板をCNCカットし、最小限の技術で建設することができます。
[Ponokoより]
- John Baichtal
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai | Sep 6, 2011 12:00 AM
Home and Garden, Open source hardware | Permalink | Comments (0)
June 13, 2011
プロトタイプでは、鉄製ロッドをFDMマシンでプリントしたコネクタで組み合わせたキャリッジアセンブリを使っています。キャリッジシステムは、ベルトとステッピングモータによって全体がX軸に沿って移動します。プリントキャリッジは、HPのセール品プリンタから取り出したものです。これは別のベルトとステッピングモータのセットでY軸に沿って移動します。印刷システム全体をコントロールする電子制御にはArduino Megaを使っています。今回の設計は、計画どおりに作動するプロトタイプとなって機能が実証されました。ロッドを組み合わせた構造は軽量で組み立ても簡単で、他のシステムへの組み込みも容易に行えることがわかりました。Arduinoは、液晶パネル、SDカード、ステッピングモータなどの動作を安定的に制御するに十分なリソースを持ち、信頼性が確認されました。
今後の目標は、プリントで作れるパーツを増やして全体のコストを下げること、ホストソフトウェアを開発すること、そしてスピードの最適化です。
彼のブログ記事、プロジェクトのFlickrセット、Thingiverseの記事も見てね。
[Dangerous Prototypesより]
- John Baichtal
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai | Jun 13, 2011 01:00 AM
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May 20, 2011
先日、年に一度のGoogle I/Oがサンフランシスコのモスコーンセンターで開かれた。大勢の人や企業が集まった、巨大なドットコムど派手パーティーだ。特に、対象となるのが「Googleのクラウドとオープンウェブ技術を使ってアプリケーションを開発している、ウェブ、モバイル、企業向けの開発者...... I/Oで紹介される製品と技術はApp Engine、Android、Google Web Toolkit、Google Chrome、HTML5、AJAXとData API、Google TVなどなど」ということだが、Google TVとGoogle Waveに関しては、今年は大したことがなかった :) しかし、オープンハードウェアとモバイル関係の人間には、歴史上もっとも重要なイベントになったはずだ。
今週のコラムでは、Googleがオープンソースハードウェアのプラットフォーム(Arduino)をAndroid Open Accessoryキットに選んだこと、そして、どうしてそうなったかについて語りたいと思う。また、Googleはなぜうまくできたのかについても、ちょっと考えてみたい。そして、私がいつもこのコラムで行っている「予測」(なぜArduinoが勝利して今も生き続けているのか)をやろうと思う。 1) GoogleはAndroidとArduinoを組み合わせることでキネクトのような創造性の結集を実現する。 2) Appleは排他的な「Made for iPod」(TM) プログラムを破棄してアクセサリ開発に何らかの形でArduinoを採り入れる。 3) Microsoft/Nokia/Skypeはこれらすべてを注視し、Windows Phone 7用のアクセサリ開発にNetduinoの採用を考えるようになる。
モバイル関連企業が、これまで思いもつかなかったアクセサリで創造性あふれる電話市場の活性化を夢見るならば、これがそのための道筋だ。
それでは始めよう。
Androidに関するデータ(Google調べ):
- アクティベートされたAndroid機器:1億台
- 1日にアクティベートされるAndroid機器:40万台
- Android Marketに登録されている無料有料のアプリケーション数:20万本
- Android Market からインストールされたアプリケーション延べ数:45億本
すごいね。大勢の人がAndroid携帯を持っていて、Appleも安心していられなくなったはずだ。Googleは今週、Android Open AccessoryというAndroidプラットフォーム用アクセサリの製作を簡単にするために、Arduinoを使っていると発表した。素晴らしい。それなら我々もすぐに参入できる。彼らの発表を引用しよう。キーノートスピーチも見られる。
開発当初より、Androidはモバイルフォンを越えるものを目指してきました。それを念頭に、あらゆるAndroid機器上で使える新しいハードウェアアクセサリの開発を支援するAndroid Open Accessoryを開発しました。
ハードウェアの話は36:00のあたりから始まる。
30万ユニット以上ものArduinoが「野放し」状態になっているわけだが、学生から、Processingや教育などを通して、よくわかっていないで使っている人までを含めると、50万人以上の人が、なんらかの形でArduinoを使って何かをしていると思われる。前にも書いたとおり、マイクロコントローラプラットフォームとしては、Arduinoは勝利して生き延びている。コミュニティ、オープンなIDE、オープンハードウェア、ちゃんと動くドライバ、クロスプラットフォーム(非常に安価で、何かをしたいと思えば、今すぐにできる。実際、アナログセンサーのデータを読み取ったり、モーターを制御したりといったことを、Arduinoよりも簡単にできる方法はない)、重要なのはここだ。とくに、電話を使ってこれと同じことをしたいという場合はね。
世界中に何百万台という電話があり、Googleはアクセサリの開発をめちゃくちゃ簡単にしたくて、そのための、簡単に使えてセンサーに対応した、このパーティーを立ち上げる十分なパワーを持ったオープンソースプラットフォームを探していた。それがArduinoだ。これには異論があるだろうが、Arduino以外に候補は考えられないだろ?
ただし、今回Googleが発表したArduinoハードウェアには、まだそれを実現できるだけの力はない。Google I/Oでは参加者全員にこれを無料配布するという素晴らしい行動に出たわけだが、もうすぐ、もっと安くて(もっと高性能な)やつが出てくる。Googleは、最初にこれを実装するときに、いくつか、私が疑問に思う決断をしたはずだ。次にその話をしよう。
こういうことだ...
Android 3.1プラットフォームは、Android Open Accessory対応となります(Android 2.3.4にもバックポートされています)。これは、Android搭載デバイスと外部USBハードウェア(Android USBアクセサリ)を、専用の「アクセサリ」モードで通信できるようにするものです。接続されたアクセサリはUSBホストとして作動し (バスパワーでデバイスをエミュレート)、Android搭載デバイスは、そのデバイスとして作動します。Android USBアクセサリは、Android搭載デバイスに装着できる形をしており、シンプルなプロトコル(Androidアクセサリプロトコル)でしっかりと接続され、Android搭載デバイスがアクセサリモードに対応しているかどうかを確認できなければいけません。また、アクセサリは、5ボルト500ミリアンペアの充電用電源を供給できなければなりません。これまでに発売されたAndroid用デバイスの多くは、単にUSBデバイスとして作動するものであり、外部USBデバイスとの接続を開始する機能はありませんでした。Android Open Accessoryに対応していれば、さまざまな種類のAndroid搭載デバイスに、アクセサリ側から接続を開始できるように、アクセサリを作ることができます。Mega2560とCircuit frameborder="0" allowfullscreen="">
"Romfont" が詳しいコメントをくれた。多くの点で同意できる。:
ADKチームは、ひどいプロトコルを作ることで、最新型の電話でしか使えないようにしてしまった。短期的に見ると、商業的価値はまったくない。ホビイストたちも、今持っているデバイスのROMを最新のものに更新するか、新しいスマートフォンを買うかしない限り、このお楽しみには参加できない。そのため、お粗末な設計の互換性のないデバイスでなんとかやるしかない。しかし、このなんとかやった方法が、Googleによって支援されたスタンダードとなった。私はADKの信奉者になりたかった。正しい設計をしてくれていたら、今ごろ私は、Googleの素晴らしい業績を讃える最初の人間になっていたはずだ。新しいプロトコルを正しく追加できたはずだ。ADBを元に何かを作れたはずだ。それよりも、OTGに対応できたはずだ。今のところ、ADKは、未解決の問題を解決できずにいる。それどころか、浅はかな考えに基づく規格を追加したことで、事態はさらに悪くなってしまった。Androidにはもうこれ以上規格を増やさないでくれと、みんな思っている。
全体を読むと、鋭い指摘がいくつもある。だけど、GoogleはArduinoをAndroidに使うと宣言したことは大きいと思う。これから、もっとマシなものが作られるようになるはずだ。今、その仕事に取りかかっている連中を知っている。USBホストシールドとArduinoを今でも使えると伝えられているけど、電源の問題があるという。それが本当かどうか、確認をとっているところだ。
もうひとつ、Googleにはハードウェアの専門家がいないということがある。MegaとUSBホストシールドを合体させたのは、Google I/Oになんとか間に合わせようと急いだ結果だろう。Arduinoならすでに開発ベースができている。Googleは、プロトタイプやアクセサリの開発者に、または、ただ電話でLEDを点滅させたいだけの人に、KEILのコンパイラを買わせるようなことをしたくなかったのだ。と、Google寄りの言い方をすればこうなる。とにかく私は、次のバージョンに(そしてオープンソースコミュニティの出方に)期待している。
そうそう、もうひとつ言っておくべきことがあった。ADKファイルがここでダウンロードできる。ちなみに、Googleはオープンソースハードウェアの手続きをきちんとやっている。(うれしいね!)
iPod や iPhone で使える公認アクセサリを作るために必要な Apple の認証は、どうやったら受けられるか。
MFiライセンスプログラムへの参加により、iPod、iPhone、iPadに接続する電子アクセサリを開発できるようになります。ライセンスを取得したデベロッパは、技術資料、ハードウェアコンポーネント、テクニカルサポート、認定ロゴをご利用いただけます。デベロッパは、iPod、iPhone、iPadとの情報交信に使用される通信プロトコルである「iPodアクセサリプロトコル」について説明している技術仕様書を受け取ります。また、デベロッパは、iPod/iPhone/iPad用のアクセサリを製造するのに必要なハードウェアコネクタとコンポーネントをご利用いただけるようにもなります。
「ライセンスを取得したデベロッパ」というのは古い考え方だと思う。「オープンな仕様」じゃないと。Appleのやり方は、もうダメなのか? Androidアクセサリが今後どう出るかに大きく左右されるが、クールで素晴らしい製品がAndroidのほうにばかり出るようになれば、そうなるだろう。そうなればAppleもアクセサリを簡単に作れるようにするだろう。そうせざるを得なくなる。Appleアクセサリの秘密保持契約はホントにホントに(どこよりも)キツいと聞いたことがある。Appleのアクセサリを作ったことのある知人が、こう話してくれた。「自分が作っているものをAppleが気に入ると、彼らはそれをパクる。そのことは肝に銘じておくべき」だと。これは何年も前のiPodしかなかった時代の話だが、考えさせられるものがある。自分が作りたいハードウェアをAppleが気に入らなかったら、彼らはすぐに関係を絶つ。App Storeからアプリを削除されるようにだ。Appleとの仕事は素晴らしかったという体験をお持ちの方は、ぜひ意見を聞かせてほしい(契約上許される範囲で)。
個人的にAppleのiOSのプログラムで痛い目に遭っているので、偏見があるかもしれない(どうしても私のアプリを承認してくれなかった。連絡を取る方法もなく、悪夢だった)。結局あきらめたのだが、大変な時間の無駄だった。それに、今はオープンソースハードウェアを中心にがんばっている企業を応援したいと考えているしね。
さらにもうひとつ...... Googleはアクセサリ開発を内部でやるようになるかも -
HershensonとBritは、2000年にDangerを立ち上げた3人のうちの2人。3人目は、Android開発主任、Andy Rubinだ。この3人のエンジニアは、2000年に、当時セレブの必需品ともなったT-Mobile Sidekickなどの一般向けスマートフォンを他に先駆けて開発した。その3人が再び手を握ったのだ。この12カ月の間、BrittとHershensonは密かにGoogleの Android部門の中の新部門、Android Hardwareを立ち上げていた。(中略)彼らはそこで、Android用周辺機器のリファレンスデザインとなるものを作っていた。Android Hardwareは、ホームオートメーションから運動ゲーム、ロボティクスまで、あらゆるものに手を付けた。GoogleブランドのAndroid用ハードウェアを今すぐ発売するというわけではないが、Britは、ゆくゆくはGoogle独自のAndroid周辺機器を出したいと考えているようだ。クパチーノの連中(編注:Apple)は気が気ではない。
ものすごいチームだ。びっくりするようなアクセサリを次々に生み出して、Googleからコンスタントに卒業していく人々と一緒に、またはその人たちに手渡して、新しい会社を作らせるという(で、後にまたGoogleに吸収される)ことになっても、驚きはしない。これはAppleとは正反対のやり方だ。昔のSidekickを今でも使いたいと思うよ。
Microsoftが、Googleと同じことをしたいと考えたらどうだろう。オープンソースの.NETプラットフォームなんて、あったっけ? ある! Netduinoだ。さあ、バルマーよ、急いでNetduinoの連中に会って、Windows Phone 7用の新しいアクセサリ開発プラットフォームについて話し合うのだ。冗談で言っているのではない。次の「Kinect」をどうするか、真剣に話し合ってほしい。だけど、Netduinoの会社を買収しようなんて考えないでくれよ。そんなことしたら、メチャクチャになる。彼らを表から支えるんだ(ないしょでもいい、なにせSecret Labsだからね)。そして、すべての .NET開発者にWindows Phone 7 phoneとNetduinoを配布してハッキングをさせるんだ。開発者が命だ。そうでしょ?
デベロッパーズ! デベロッパーズ! デベロッパーズ! と冗談はさておき、レッドモンドでこんな会合があってもおかしくない。お偉方のオーケーが出るといいんだけど。NetduinoとMicrosoft、やってくれ!
朗報を待とう。Google I/Oに参加した何万人もの人たちが家に帰っていく。数日以内に、最初の「ハック」が現れて、数週間以内に最初のアプリケーションとアクセサリのプロトタイプが現れるだろう。そして数カ月以内にアクセサリが発売され、Kickstarterが出資を募り、忽然と新しいものが現れるかも知れない。我々全員にとって、次に何が起こるかを予測する最良の方法は、自分で作ることだ。今まで、Androidにはあまり関心がなかったんだけど、「脱獄」は面倒な手続きの必要がなく、そのあげくに拒否なんて目に遭うことなく、新しいものが作れると思うと、なんだか無性に作りたくなってきた。大好きで使い慣れたオープンソースの開発プラットフォームもある。Arduinoだ。GoogleがArduinoを選んだことが、どうして問題なのか? それは、今このときから、Googleに対抗して開発者を刺激してアクセサリを作ろうと思うと、オープンにしなければならなくなるということだ。そして、どうしてもArduinoが必要になるということだ。
- Phillip Torrone
訳者から:Apple のオープン化の話は出ては消えしてきたけど、もうホントにヤバくなってる感じだね。ボクもAppleデベロッパプログラムに1万円払ったけど、なんだか面倒くさくて、何もしてない。がんばってくれ、Apple。
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai | May 20, 2011 12:00 AM
Arduino, Open source hardware | Permalink | Comments (0)April 12, 2011
OSHW Logo Selected!
オープンソースハードウェア(OSHW)のロゴが公募によって決定しました。9000点近い応募があり、OSHW Logo v1.0に選ばれたのはMacklin Chaffeeの"Golden Orb"でした(2011年2月11日受領)。おめでとう、Golden Orb。そして応募してくれたみなさん、ありがとう! オープンソースハードウェア定義 1.0に賛同される方は、OSHW Definitionとロゴをあなたのプロジェクトや回路に添付してください。またひとつ、オープンソースハードウェアの記念すべき日ができました。Ayahとチームのみんなの努力の結果だ! いいロゴだね。オープンソースソフトウェア(OSI)との関係もわかる。歯車も付いてるし。:) 次はライセンスだ!- Phillip Torrone
訳者から:ちなみに、OSIのロゴはこれです。
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai | Apr 12, 2011 12:00 AM
Open source hardware | Permalink | Comments (0)
March 22, 2011
「オープンソース・エレクトロニクス」販売機と呼んだほうが正確かも。数えたところ、18種類ある中でArduinoの仲間は3つだけだから。残りはシールドとその他のキット。それにお約束のラーメン。この自販機は、ブルックリンのMakerBot本社に置かれている。写真はMatt Metsが直々に撮影。この業界に長いと、パッと見ただけで何が入ってるかわかるんですよ。MattのFlickrストリームで詳しく見られます。
- Sean Michael Ragan
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai | Mar 22, 2011 01:00 AM
Electronics, Gadgets, Open source hardware | Permalink | Comments (0)
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